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「怖さ」と「緊張」




…(引用はじめ)…


まずはホワイトボードに、レースの日に自分に関する「プラスなこと」と「マイナスなこと」のすべてを書き出します。たとえばプラスだと楽しい、挑戦、チームスピリット、速さ、目標達成など。マイナスだと緊張、恐怖、ストレス、不安、転倒、片反など、たくさん出てきます。そして、マイナスに出てきたことを一つひとつ取り上げ、どうしたらプラスにできるかを話し合います。

意外と多かったのが「怖さ(Fear)」。怖さと言っても負けることへの恐れ、コースの怖さ、転倒への恐怖、自分の今現在のランキングより落ちてしまうかもしれない恐怖など、いろいろな種類があります。まずは何が怖いのか、自分が何に対して何を心配しているのかを書き出します。そうすると、恐怖のほとんどは実在しないものということがわかります。恐怖とは「自分自身が勝手な思い込みで作り上げた想像」であることがほとんどなわけで、実際それが起こるかどうかすらわからないわけです。それに気がつけば、恐怖心を排除することは比較的楽になります。

次に多かったのが「緊張」。緊張することが悪いことだと思っているからマイナスになるのであって、逆に緊張するのは良いことだと思い込めば良いのです。緊張するのは自分がスキーに対して本気になっていることの現われであり、緊張するのは当たり前。普段の生活ではなかなか味わえない「ド緊張」をスキーレースでは味わえるわけですから、むしろその瞬間を楽しむようにすれば良いわけです。


英語で「Impossible(不可能)」という言葉は、ひとつ点を足してスペースを入れるだけで、「I'm possible(私はできる)」となります。前向きな姿勢というのは、どんな世界でも大事ですね。

…(引用おわり)…






そういえば、こんな禅問答もあったな。

以下、別の本から引用。




神光が言った。

「私の心は不安であります。どうかこの心を安らかにしてください」

達磨は答えた。

「では、その心をここへ持ってくるがよい。おまえのために安んじてやろう」

神光はさらに問うた。

「心を探し求めましたが、どうしてもつかむことができませんでした」

達磨は答えた。

「それでよいのだ。おまえのために、もう安心させてしまったぞ」






「達磨(だるま)の安心(あんじん)」として知られる公案だ。私たちは心を持っていると思うから悩みもするが、いざ心をつかもうとすると実体がないからつかめない。禅では心は私たちがつくりあげているものだと考える。悩みや恐れは私たちの心にあるもので、対象や事実そのものにあるわけではない。それにしても「心を持ってこい」とは面白い表現だ。「形がないものに悩みがあるはずもない。それがわかれば安心したはずだ」と言われて悟った神光は、やがて達磨から「慧可(えか)」という名を与えられ、禅宗第二代の祖(二祖)となった。











by zuss2 | 2017-03-07 19:49
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